教室の窓側に近い席。私はその席に座っている。今授業中だけどどうしても集中出来なくて頬杖をしながら空を見た。今日は天気予報で曇りって言ってたっけ。外は夜じゃないのに厚い雲の所為で普通の昼より真っ暗だ。ボーっとしてたら空から何かが降って来た。



「あ、雪」



フアフアと綺麗に降るものは雪だった。自然とあの頃の出来事があたしの頭の中に浮かんできた。






そう、あの日も雪が降っていた。私は親に捨てられ、どこかに売られたんだと気づいたのはそう遅くなかった。その生活が耐えられなくて抜け出した。でも、簡単に逃げられるわけじゃない。でも、私は走った。走って、走って、走った。



「……」



泣いていたはずなのに声が出なかった。あの生活の所為で声が枯れてしまったらしい。私は路地裏の壁に寄りかかり体を丸めた。裸足の足はもう傷だらけで歩けない。涙を流しても寒さの所為で凍るんじゃないかと思った。私…死んじゃうのかな。あぁ、次生まれるんだったら平和な所がいいな。で、仲良しな夫婦の子供に生まれ変わりたいな。あれ、何か眠くなってきた。



バタ……





真っ白な地面に私の体も同じ白に染められていった。



この世界の雪はどうしてこんなに白いんだろう。今死にかけてる私にはどうでもいいことなんだけど…


さぁ、もう目を閉じる時間かな。私の人生短かったしこんな事になったのは親の所為だけど何故か恨めらないんだな。私ってお人よしなのかな。さようなら私。さようなら世界。



「君、大丈夫ですか?」



突然の事だ。目の前にオッドアイの同い年の男の子。彼は私の眠りを邪魔するの?それとも幻なの?ってか、こんなカッコイイ人が目の前にいるなんて。



「……」


話をしたいのに声が出なくて口パク状態になってしまった。



「君、声が出ないんですか?」
「(コクッ)」


声が出ない代わりに頷いた。


カッコイイ彼は顎に手を置き考え込んだ。



「君、もし君さえ良ければ一緒に来ませんか?」



オッドアイの少年は私に手を伸ばした。



「一緒に復讐しましょうこの世界を」



私はこの台詞を聞いてきっと心の中の闇に光が差したような気がした。



「         」




私は頷いて口パクで言った。多分彼は何て言ったか分かったと思う。



バタンッ



私はその場に倒れてしまった。




そして今に戻る。


私は今、こうして声も元どうり治った。あれから3年はたった。今、彼は私の側にいない。ボンギレだっけ?ボンボンだっけ?何でもいいや。まぁ、マフィアに会いに行くって言ったきり帰って来なかった。まったく、私に断りもなくどこに行ったんだか。でね、居なくなってから考えるようになったんだけど私ね、思うんだよ。もし貴方に会わなかったらさ私笑えなかったと思うんだ。あと、私実は寂しいんだよ。だからさ、帰ってきてよね。



「バカ骸……」



私は教室のみんなに教科書で顔を隠しながらバレない様に泣いた。さっき、貴方に会わなかった笑えないって言ったよね。本当はきっと貴方、骸が居なかったら本当の笑顔で笑えないんだよ。





本当の笑顔




(会いたいよ。骸…)