シャルのバカっ!!帰ってたら覚えとけよっ!!!






学校の教室の前に着いたのは既に一限目が過ぎていた。とりあえず後ろの扉から黙って入った。運がいいことに席は一番後ろの廊下側。だから、後ろからバレない様に座るなんて簡単な事。ってか、もう何回もやってたし。



「お、今日は凄いかっこしてんな」


隣に座ってる奴が頭から足までじっくりとこの濡れた私を見た。さっき制服からジャージに着替えたが髪の毛が濡れてるし、このどじゃぶりな外を見れば今の私の状況はすぐに分かったはずだ。あと隣りの人は学年でかっこいいってか学校でかっこいいトップ3に入ると言われてる奴で、私にとっちゃまだシャルナークのがかっこいいと思う。って何言ってんだ私!!だってこんなひょろひょろのもやしっ子だよ?なんでこんなのが人気なのよ。はぁ、この世代の女の子はひょろひょろでもやしっ子でなんとなく癒しぃーが出てる男がすきなんて・・・。



「すみませんねぇ。ちょっとタオルかなんか持ってたらうれしいんだけど・・・」
「あぁ、持ってるけど。俺のでいいの?」
「この状態でわがまま言ってほしいの?女に二言はないのよ」
「ぷっ。変な女」
「よく言われる」


もやしからよく聞く有名ブランドのフェイスタオルを手渡された。ありがとと一言もやしに感謝しタオルを受け取った。受け取った時に休み時間だった所為か女子からの冷たい目線に気づいた。あ、そいえばコイツモテるんだっけ・・・。やばい、女子を敵にしたらこの私でも多分無理だ。とりあえずやっぱり返すと言おうと口を開いたが向こうは女子の目線を知らなかったのか「『女に二言はない』だろ」っと悩殺スマイルを私に向けた。あ、この悩殺スマイル=私以外の女に、だから。






って一人暮らししてんだろ」
「え、いきなり何?」


2限目の授業中、髪を借りたタオルで拭いていた時もやしがそいえば、と思い出した風に話しかけた。



「今日一緒に帰らない?どうせ傘持ってないんだろ」
「まぁ、もや、じゃなかった。そっちがよければ」
「今もやしって言「え?わたし何も言ってないよ」」
「・・・・はぁ。じゃ、俺バスケあるから終わってからなんだけどいい?」
「女に二言はねぇ!だよ」
「あははは!本当に変な女」



コイツと話すのは嫌いではなかった。でも、コイツと喋ってる時の女子達目線がうざい。ってか気分が悪い。何なんだこの女子等は。あれか、嫉妬か?嫉妬ってやつか?あぁ、女って何でこんなうざいわけ?かわいい子は好きだけど、ああいうお姉系の女は本当にうざい。



「今日私生きて帰れるかな・・・」
「え?何か言った?」
「あ、ごめん。何でもない」
「そう」



心で呟いたつもりが口に出てしまっていた。あぁ、どうせなら雨が止んでくれればコイツと帰らなくて良いのに。あ、別にコイツと帰りたくないんじゃないんだよ。あぁ、何で隣り同士になっちゃったんだろ。




私の願いは儚かったよ。放課後になってももやしの部活が終わっても雨は結局止まなかった。



「やぁ、もや・・・じゃなくて「もういいよ。名前覚えてないならもやしでもなんでも」じゃ、もやしね。で、もやし君帰りましょうか」
「おう」


男用の傘ってか結構大きい傘を期待していたが思ったより小さかった。これじゃ、二人は入れないだろ。放課後で部活後と言ってもやっぱり人は少なくなかった。校庭の半分以上世間話をしながら歩いてたら校門の前で見慣れた金髪の少年が傘を持って立っていた。



「しゃ、シャルナーク?」
「やぁ、迎えに来てやったのに君何やってるの?」
「何でシャルナークが・・・」
「今日の朝、傘持って行ってなかっただろ?だから持って来たんだよ?ごめんねデートの邪魔しちゃった?」


やばい、シャルがすっごく怒ってる。とりあえずこのままもやしといると絶対もやしが殺される、冗談じゃなくてシャルナークは絶対殺る、だって殺気&オーラの量がいつもの3倍出てる。



「ごめん、もやし。今度お菓子奢って上げるから今日は勘弁して」
「お、おう、ま、また明日な」
「じゃ、明日ね」


急いでシャルナークの方へと雨に打たれながら向かった。ごめんね、もやし。もしかしたらもやしの命後1、2時間後かも。



「ねぇ。俺に何か言うことない?」
「はい。ごめんなさいシャルナークさん」
「別にごめんって言ってほしいんじゃなくて」
「じゃあ、何さ。六道輪廻廻ぐらせてほしいの?」
「・・・・」
「ごめん。ジョークよジョーク」


いつものテンションが、火に油を注いだ感じで色々倍増された。あの、本当にごめんね?



「じゃ、どうしてほしいの?」
「シャルって呼んで」
「・・・・は?」
「前までシャルって呼んでたのに今日帰ってきたらシャルナークになってたし、しかも焦ってた時シャルって呼んでたって事はわざわざ呼ばないようにしてたでしょ」


ギクッ!バレてるよ。確かに私は態とシャルのことをシャルナークと呼んでた。だって、もし前みたいにいきなり消えたら辛いんだよ、バカ。だから、わざわざ境目つくったのに。何でこんなにすぐバレちゃうのかな。やっぱシャル頭よすぎだよ。



「で、シャルって呼んでくれる?」
「それで許してくれるなら呼ぶよ。シャル?」
「よし、じゃ今日はの好きなドリア作ってあげる」
「え、マジですか?やったー!!!」
「ちょっと!?濡れるよ?!風引くよ?!」
「学校休めるなら風邪もいいかも」
「学校はちゃんと行きなさい」
「何さ。シャルだって学校行ってなくても頭いいくせに」
「俺は天才なの。バカと違ってね」
「うわ、言ったよ。自分が天才って言っちゃったよ。六道輪廻廻りたいの?」
「ってか、何その『ろくどうりんね』って」
「ちょ、バカがいるよ!ここにバカがいるよ!」


二人で仲良く?とはいかないけど、一本の傘で、一緒の歩幅で歩く。雨はもう止みそうだったけど、こっちの会話は止みそうになかった。楽しい時間は多分まだ続きそうだ。





自分でも六道輪廻ってなんだか知らないでしょ?)(♪〜フーフッフフー)(・・・・・。)




20080910