近づいたのは誰?



愛してると囁いたのは誰?



突き放したのは誰?



そう。全部俺。全部俺なんだ。





今日、久しぶりにイタリアの外を散歩しに行った。最近ずっと会議続きだったり、リボーンに部屋で閉じ込められて書類の処理させられたりで目が回るような忙しさからようやく開放された今、贔屓している喫茶店に行くことにした。あそこは日本人マスターが経営しているし結構仲が良かったのでとりあえず会いに行く事にし、ゆっくりと町の空気と何週間ぶりの景色を堪能しながらあの喫茶店へ向かった。



「こんにちわー」

「お、沢田さん。お久しぶりですね」

「いつものお願いします」

「はーい」



この喫茶店は人は少ないがリピーターが多いので営業出来ている。だが今日は何故かいつもの2倍位の客が来ていた。しかもほぼ男。何なんだ今日は。とりあえずいつも座っているカウンターの席が運良く空いていたのでそこに座り、コーヒーを淹れているマスターに笑顔で話しかけた。



「マスター。最近いつもこうなんですか?」

「え?あぁ、新しいバイトが入ったんだよ。すっごくかわいいのが」

「へぇ」

「あれ?興味ないの?」


へぇ、もしかしてもういるの?など気持ち悪い笑みでこちらを見る。その笑み止めてくれ、今すぐ。



「マスター!カプチーノ2つお願いしまーす」

「はいよー」




パタパタとペンとメモ帳を持ちながら小走りでこちらに向かいながらマスターにさっき採って来たメニューを報告しに来た。振り向くとそこにはこの喫茶店の制服と思われる服に身に纏っていた。この時、今日ここに来た事を悔やんだ。



?」

「ツナ?」

「久しぶり。元気だった?」

「う、うん?ツナもかっこよくなったね?」

「え?何で疑問系?絶対かっこよくなったよ」

「なにその自信」



ちょっと嫌な空気が流れたがそれも長くなく、睨み合った俺らは突然二人で笑い始めた。



「変わってないね

「ツナもね。あの日からずっと見かけないなと思ってたんだ。イタリアに来てたんだ」

「あ、うん・・・。はなんでイタリアに?」

「え、私?私は留学だよ」

「へぇ、以外。俺よりバカだったのに」

「バカは余計よ。 あ、じゃ私まだ仕事あるから!」

「待って!」


無意識にに手を伸ばした。あの頃とあんまり変わっていなかった腕の細さに吃驚した。でも、もっと吃驚したのは・・・



「イヤッ!」



パシッという乾いた音が喫茶店に響き渡った。掴んだはずの腕はもう自分の手の中から抜け出して、振り払ったときに手のひらにの手が当たった。



怯えた目で俺を見た。でも、その表情を崩し、ごめん!吃驚して叩いちゃった!ごめんね。と申し訳なさそうに言いそしてじゃ、仕事戻るね。と笑いながら客の方へ向かった。あれ?笑ったのかな?昔から俺が大好きだった笑顔?いや、ちがう。でも、あんな表情をさせてしまう理由は俺なんだ。



そんな笑顔をするのなら・・・・・・






嫌ってくれたら楽なのに



(だからそんな笑顔をするのはやめて)